プラスチックベアリングにプラスチック製ボールは使用しないのはなぜ?
前回の【プラスチックベアリングにおけるボールの選定方法】では、プラスチックベアリングにプラスチック製ボールは使用しないとお伝えしましたが、
これにはしっかりとした理由があります。
変形の恐れ
ボールをプラスチック製にした場合、負荷によってはボール自体が変形してしまう恐れがあります。 ボールが変形してしまうと回転不良の原因に繋がります。 |
ボール自体の摩耗
通常プラスチックベアリングが摩耗する際は、軌道輪(外内輪)の溝が摩耗することが通常の摩耗になります。 ただボールがプラスチック製だと、軌道輪ではなくボール自体が摩耗してしまい、ボールが小さくなって回転不良や脱球してしまう恐れがあります。 |
凝着摩耗
これは軌道輪(外内輪)とボールが、同じ材質の時にのみ生じる異常摩耗です。 軌道輪とボールを同材質同士にしてしまうと、摺動時に発生した熱の影響で、材質同士がくっついたり離れたりを繰り返し、双方の表面が荒れ、かえって摩耗を早めてしまう現象です。 金属ベアリングをグリス無しで使用すると、だんだんゴロゴロ感が出てくると思いますが、まさにそれが凝着摩耗です。(金属ベアリングはグリスが必要な理由はそれです) |
これらはプラスチックボールだけに生じる現象で、異材質で且つ硬いボールでは生じません。
プラスチックベアリングには「ステンレス」「ガラス」「セラミック」を標準で使用するのはこのような理由からです。