ボールベアリングのはめあいと取り付け方法(すきまばめ・しまりばめ・中間ばめ・焼きばめ)

以前、ベアリングは軸を滑らかに回転させるための部品であるとご紹介しました。

冷蔵庫やエアコンといった家電製品や、電車や船といった交通機関、エレベーターやエスカレーターなどの建物の設備など、私たちの暮らしにおいてベアリングは大活躍しています。

そんなベアリングは一体どのようにして取り付けられているのでしょうか。

とはいえ、様々な種類や形状があるベアリングはそれぞれによって取り付け方が異なります。
今回はボールベアリング(転がり軸受)に焦点を当てて、ベアリングの取り付け方についてご紹介します。

ベアリング自体の種類や形状による違いはもちろんですが、はめあいによっても異なってきます。

そもそも“はめあい”とはなんでしょうか?

はめあいとは

ベアリング内輪の内径と軸径の関係、またはベアリング外輪の外径とハウジング穴径の関係のことです。
要するに、取り付ける側と取り付けられる側のはめ具合を意味します。

はめあいにも種類があり、ベアリングの使用条件によってはめあいの種類を選定します。

 

はめあいの種類

はめあいの種類は大きく分けて3つあります。

すきまばめ

軸が穴よりも小さい場合を“すきまばめ”といいます。
取り付ける側と取り付けられる側に空間ができます。これを“すきま(隙間)”といいます。

すきまがあるので取付け/取外しが簡単にできます。

頻繁に入れ替えを行う場合は、すきまばめでベアリングを設置します。

しまりばめ

軸が穴よりも大きい場合を“しまりばめ”といいます。
軸と穴が寸法的に重なり合う部分が発生します。これを“しめしろ(締め代)”といいます。

軸と穴の間に余裕が無い取り付け方です。ベアリングを軸にしっかりと固定させたい場合はしまりばめでベアリングを設置します。

すきまばめとは違い、取付け/取外しを頻繁に行うのには適していません。

中間ばめ

すきまばめとしまりばめの中間のはめあいを“中間ばめ”といいます。
わずかなすきまができる場合またはしめしろができる場合を指します。

「公差によって」というのは、穴の最小許容寸法<軸の最大許容寸法 且つ 穴の最大許容寸法>軸の最小許容寸法 の場合を指します。

取り付け方法

はめ合い条件によって取り付け方が分類されます。

圧入

ベアリングの取付の多くは“圧入”という方法を用います。
プレス機などでグーっと押すことにより、ベアリングが設置されます。
一番オーソドックスな取付方法です。
※プラスチック製のベアリングはほとんど圧入によって取り付けられます。

一般的な取付方法は“圧入”ですが、以下のような取付方法も用いることがあります。

焼きばめ

焼きばめとは、取り付ける側または取り付けられる側を加熱することにより膨張させ、膨らんでいる隙に取り付けます。
冷めた時にちょうどいいサイズ感でぴったりとはまっているようなイメージです。

冷やしばめ

取り付ける側または取り付けられる側を冷却することにより一時的に収縮させ、その隙に取り付けます。
常温に戻った時にちょうどいいサイズ感となるようなイメージです。

 

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