樹脂ベアリングにシール・シールドはいらないの?
金属ベアリングにはシールあるいはシールドが使われています。
シールとはベアリングのボールを油やグリースとともに密封したゴムのこと。
同様に金属でできているものをシールドと言います。
なぜ金属ベアリングにはシール・シールドが必要なのでしょうか?
答えは、シール・シールドが錆びの防止や油漏れ防止の働きをするからです。
シール・シールドの役割
金属ベアリングは油やグリースを使う必要があります。
金属ベアリングに水が浸入すると、水によって油やグリースが外に流されてしまいます。
そのため、何度も何度も油やグリースを給油してメンテナンスを行わなければなりません。
シール・シールドで水の侵入を防ぐことによって、この手間を少なくすることができます。
また、水の侵入により金属ベアリングが錆びてしまうのを防ぐ働きもします。
高温環境で金属ベアリングを使うと、熱によって油やグリースが漏れてしまいます。
そうすると先ほどと同じようにメンテナンスの手間がかかるため、シール・シールドがあることで油漏れを防ぎます。
さらに、シール・シールドは異物の浸入を防ぐ働きもします。
なぜ異物対策を行うのかというと、ベアリングに異物が浸入すると回転不良の原因になるからです。回転がスムーズにできないとベアリングだけでなく、装置全体の故障につながります。
シール・シールドの種類
シール・シールドには接触型・非接触型があります。
ゴムシール板で内輪が接触しているのが接触型です。内輪に接触しているので、回転の抵抗が大きくなりますが密封性が高いのが特徴です。
非接触型は内輪に接触していないため、回転時の抵抗が小さくありますが密封性が接触型に比べると弱くなります。
ここまでは金属ベアリングについて学んできましたが、
以上のことを踏まえたうえで樹脂ベアリングを見てみましょう。
樹脂ベアリングにはシール・シールドがない
樹脂ベアリングにはシール・シールドがないことに気づくと思います。
なぜシール・シールドがないのでしょうか?
答えは、樹脂ベアリングには油やグリースが必要ないからです。
樹脂には自己潤滑性能があり、油やグリースなしで使うことができます。
金属ベアリングのように、水の侵入や高温環境などで油やグリースが漏れてしまうことがありません。
また、樹脂は錆びません。
金属ように防水対策をする必要がなく、むしろ水や薬液が潤滑剤代わりの働きをしてくれます。液中や水中ではドライ環境よりも回転性能が良くなるというデータもあります。
異物対策に関しては、フルボール(保持器)なしのタイプのベアリングを使い、異物を排出しやすくする方法があります。※フルボールタイプは極低速回転でのみ使用可能です。
詳しい事例が知りたい方はこちら
・洗浄レトルトパック搬送ガイド軸受 |
異物の侵入を完全になくしたい場合は、樹脂ベアリングでもシールド型の製作が可能です。
樹脂ベアリングのシールについて詳しく知りたい方は、こちらの動画もどうぞ
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まとめ
以上のことから、基本的に樹脂ベアリングにはシール・シールドがいらないのです。
なぜなら、金属ベアリングのデメリットである油漏れや錆の心配がないからです。
油を使わないので油漏れが起こりませんし、水の侵入は大歓迎です。
異物の侵入を完全に防ぎたい場合やお客様の指定があった場合には、樹脂ベアリングでもシール形状を製作することができます。