プラスチックはどうやって作られている?
現代社会に欠かせないプラスチック製品。その原料の多くは石油から作られています。しかし、原油がどのようにして私たちの身の回りのプラスチック製品に変わるのか、その仕組みを知っている人は意外と少ないかもしれません。
本記事では、石油からプラスチックができるまでのプロセスを解説します。
プラスチック原料の歴史
まず、石油からプラスチックを作る方法に触れる前に、最初のプラスチックは石油由来ではなく、植物由来のものでした。
ここでは、19世紀に誕生した「セルロイド」から、現在の石油由来プラスチックへと発展していった流れを解説します。
1868年、アメリカ人発明家ジョン・ウェズリー・ハイアットは象牙の価格高騰に伴い、セルロイドはニトロセルロースという綿状の素材と樟脳というクスノキの木っ端からできるものを化合させて作られています。
これを使って当時は象牙からつくられていたビリヤード球や櫛、人形のほか、フィルムなど様々な物の素材として使用されました。
ただし、セルロイドは燃えやすく、劣化しやすいというデメリットもありました。
20世紀に入ってからは、1907年ニューヨーク在住のベークランドが石炭からフェノールとホルムアルデヒドを抽出して、それを反応させて新しいプラスチックを誕生させました。
この素材は、弊社プラスチックベアリングの素材でも使用されているフェノール樹脂と同様の物になります。
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その後、第二次世界大戦で武器を製作するための金属が不足したことでプラスチック素材の開発が進んでいきました。
現在使用されている石油由来のプラスチックですが、さらにその後の1960年以降、石油化学コンビナートの盛り上がりに合わせてポリエチレンなどのプラスチックが大量生産され日用品に使用され、我々の生活に浸透していきました。
このように、プラスチックの歴史は、セルロイド(天然素材)から始まり、ベークライト(合成樹脂)、石油由来プラスチックへと進化してきました。
石油からプラスチックをどうやって作っている?
現代のわれわれに馴染みのある石油由来のプラスチックができるまで、どのような原料や方法でプラスチックを作ってきたのかがわかりました。
では、石油由来のプラスチックはどのように作られているのでしょうか。
プラスチックの原料となるのは、地中深くに埋蔵されている「原油」です。原油は採掘された後、石油精製工場の蒸留塔というタワーのような建物で原油を350℃ほどに熱します。
この工程で、原油を成分ごとに分離します。プラスチックの主な原料となるのは「ナフサ」と呼ばれる軽質油です。
ナフサはそのままではプラスチックになりません。
ナフサはさらに高温・高圧のもと分解され、小さな分子(エチレン・プロピレン。ブタジエンなど)の製品原料に変えられます。
これらは炭素と水素が結びついた分子で、この分子をたくさん結合させることでプラスチックの原料が完成します。
さらにこの原料を加工、油脂王しやすいよう「ペレット」という3~5mmの粒に加工します。
このペレットを使って、さまざまな形状に成形されます。
成形方法には以下のようなものがあります。
射出成形:溶かしたプラスチックを金型に流し込み、冷やして固める(例:スマホケース、容器)
押出成形:加熱したプラスチックを押し出しながら成形(例:ストロー、パイプ、棒材)
ブロー成形:空気を吹き込みながら中空の形状にする(例:ペットボトル)
こうして、私たちが普段使っているプラスチック製品が完成します。
石油からプラスチックが作られるまでには、原油を掘り出したり化学反応でいろいろな成分を生み出したり、成形するなど多くのプロセスが関わっていることがわかりました。