プラスチックベアリングVS金属ベアリング ~耐荷重と許容回転数の違いとは?~
ベアリングは、機械の動きをスムーズにする大切な部品です。
金属ベアリングは「頑丈で高速回転に強い」、プラスチックベアリングは「軽くてサビにくい」などの特徴がありますが、実際の耐荷重や許容回転数はどれくらい違うのでしょうか? 今回は、そのポイントをわかりやすくご紹介します。
耐荷重の違いは?
耐荷重性能はベアリングの形状やサイズにより異なりますが、今回は「深溝玉軸受 6000番(外径φ26×内径φ10×幅10mm)」を例に、金属製とプラスチック製で比較します。
★金属ベアリングの耐荷重(目安)
一般的な金属(SUJ2):1,900N~2,000N(※1N=約100gの重さ)
★プラスチックベアリングの耐荷重(目安)
プラスチック製:20N~80N
金属ベアリングと比較すると数パーセント程度しかもたず、耐荷重性能はかなり劣ってしまいます。
基本的にプラスチックベアリングは低荷重での使用環境に向いています。
しかし、プラスチックの軸受けでも、ボールベアリングではなく、すべり軸受けであれば、高い耐荷重性能を発揮する事も可能です。
★6000番と同じサイズでのプラスチック滑り軸受けの耐荷重(目安)
プラスチック製滑り軸受け:250N~1500N
滑り軸受は、面で荷重を支える構造になっているため、ボールベアリングよりも高い負荷がかかる環境に適しています。使い方によっては、金属製のベアリングと同じくらいの耐荷重性能を発揮することもあります。
許容回転数の違いは?
許容回転数に関しても形状や大きさによって異なるので、耐荷重と同様のベアリングで比較してみましょう。
★金属ベアリングの許容回転数(目安)
一般的な金属(SUJ2):29,000rpm~30,000rpm
★プラスチックベアリングの回転数(目安)
プラスチック製:200rpm~2,100rpm
金属ベアリングは、オイルやグリースを使って摩擦を減らすことで、高回転でもスムーズに使えるようになっています。
もしオイルやグリースが無ければ、金属同士の摩擦で熱が発生し、焼き付けやフレーキング現象といったトラブルが起きてしまうことがあります。
その点、プラスチックベアリングは、素材そのものに自己潤滑性があったり、もともと摩擦抵抗が低かったりするので、グリースレスで(グリースを使用せず)使えるのが特徴です。
高温や低温といった過酷な環境でも、グリースが漏れたり固まったりする心配がないため、安心して使うことができます。
まとめ
基本的に、プラスチックベアリングは金属ほどの強度はありませんが、特殊環境で力を発揮します。
たとえば、水中や薬液中で錆や腐食の可能性がある環境や、食品機械や医療機器などで、グリースを使用したくない環境ではグリースレスで使用可能なプラスチック製が役立ちます。
金属ベアリングとプラスチックベアリングには、それぞれの強みがあります。重さや回転数、環境を考えて選ぶことが大切ですね。
🔹 高負荷・高速回転が必要なら → 金属ベアリング!
🔹 軽量・耐食性が必要なら → プラスチックベアリング!
どちらも用途に応じて上手に使い分けることで、機械の性能を最大限に引き出せます!