安いプラスチックと高いプラスチックの違い
私たちの生活に欠かせないプラスチック。
実は、プラスチックにもさまざまな種類があり、それぞれ価格に大きな違いがあります。
この記事では、汎用プラスチックとエンプラ、スーパーエンプラ(高性能エンプラ)の違いを比較しながら、価格差の理由をわかりやすく解説します。
プラスチックの種類と価格の違い
プラスチックは大きく分けて、以下の3つに分類されます。
分類 | 特徴 | 代表的な素材 | 価格帯 |
汎用プラスチック | 安価で大量生産が可能 | PE(ポリエチレン) PP(ポリプロピレン) |
安い 💰 |
エンプラプラスチック (エンプラ) |
強度・耐熱性に優れる | POM(ポリアセタール) PC(ポリカーボネート) |
中価格 💰💰 |
スーパーエンプラ (高性能エンプラ) |
高耐熱・高耐薬品・高強度 | PEEK(ポリエーテルエーテルケトン) PI(ポリイミド) |
高価 💰💰💰💰 |
価格差の理由:汎用プラスチック vs スーパーエンプラ
汎用プラスチック(例:PE・PP)とスーパーエンプラ(例:PEEK・PI)の価格差は、以下のような違いによって生じます。
要因 | 汎用プラスチック (PE・PP) |
スーパーエンプラ (PEEK・PI) |
①原料のコスト | 安価な石油由来の原料を使用 | 特殊な高分子の原料でコストが高い |
②製造プロセスの難易度 | 低温・低圧で簡単に成形可能 | 高温・高圧が必要で、加工が難しい |
③需要と供給 | 世界中で大量に使われ、供給が安定 | 航空宇宙・医療など特殊環境で使用 |
④加工方法 | 射出成形・押出成形で大量生産可能 | 切削が多く、製造に時間とコストがかかる |
⑤耐久性・性能 | 耐熱性・薬品性が低い | 高温・強酸・強アルカリ環境にも耐えられる |
製造プロセスの違いが価格に与える影響
プラスチックの価格は、どのように作られるかによっても大きく異なります。
以下のような製造方法がありますが、スーパーエンプラは高度な技術が必要なため高価になります。
製造方法 | 汎用プラスチック(低コスト) | スーパーエンプラ(高コスト) |
射出成型 (インジェクションモールド) |
大量生産が可能で安価 (PE・PP) |
PEEKも射出成型は可能だが、超高温対応の金型が必要でコスト増 |
押出成形 (エクストルージョン) |
PEのパイプ・フィルム・シートに使われる | スーパーエンプラは適用が難しく、加工コストが高い |
圧縮成形 (コンプレッションモールド) |
汎用プラスチックにはほぼ使われない | PEEKやPIの加工で多用 高圧・高温でコスト増 |
切削加工 (NC旋盤マシニング等) |
刃物の摩耗が少ない | スーパーエンプラでは一般的 (1個ずつ加工するため高コスト) |
3Dプリント | PLAやABSなどが安価で利用可能 | PEEK用3Dプリンタは非常に高価で、材料コストも高い |
汎用プラスチック vsエンプラ・スーパーエンプラ:具体的な価格比較
※ 以下の価格は市場状況や原材料価格によって変動するため、概算の目安として参考にしてください。
プラスチック | 用途 | 価格目安 |
PE(ポリエチレン) | レジ袋、食品容器、パイプ | 💰 |
POM(ポリアセタール) | 歯車、精密機械部品 | 💰💰 |
PI(ポリイミド) | 航空機部品、半導体製造装置 | 💰💰💰💰 |
PEEK(ポリエーテルエーテルケトン) | 航空機部品、医療機器、半導体製造装置 | 💰💰💰💰 |
📌 注意:価格はおおよその目安であり、実際の価格は供給状況や市場の動向によって変動します。
特にスーパーエンプラは需要や生産コストの影響を受けやすいため、正確な価格情報はメーカーや販売業者に確認してください。
鹿島化学金属ではどの樹脂を使っているの?
鹿島化学金属では、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンプラをプラスチックベアリングの軌道輪・保持器材質として採用しています。
弊社の商品は、耐薬品性や機械的強度が求められるため、高性能な樹脂を使用する必要があるのです。
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まとめ
✔ プラスチックの価格差は、原料・製造プロセス・需要の違いによって生まれる
✔ 汎用プラスチック(PE・PP)は安価で大量生産可能だが、耐熱性や強度は低い
✔ スーパーエンプラ(PEEK・PI)は高価だが、高温・高圧・耐薬品性に優れ、特別な用途に使用される
✔ 原料や製造プロセスの難しさが価格差に直結し、スーパーエンプラは加工に手間がかかるため高価になる
高価なプラスチックには、それだけの価値があるのです。
これからの技術革新によって、より安価で高性能なプラスチックが登場するかもしれませんね!